学生はもちろんビジネスマンにとっても今は勉強は避けて通れない世の中でしょう。
社会に出てから仕事に関する勉強を全くしないで過ごす人は少数派で、多くの人は何らかの形で自己研鑽に励んでいると思います。
休日はまとまった時間が取れるのでしっかりと勉強しようと考えていたのに、中々やる気が出なくてついyoutubeや漫画をみてしまい気がつけば夕方。。。そんな日は落ち込んでしまいますね。
実は『やる気が無くて勉強できない』という状況は脳が大きく影響しており、何の予備知識もなく単純に気合だけで乗り切ることは難しいのです。
今回は【休日に勉強が進まない理由】を脳科学の観点から論理的に解き明かしてみます。
実際に僕が試してみて本当に効果があると感じた4つの対策も合わせてご紹介しますので、思うように勉強が進まない人は是非読んでみてください。
やる気がでないのは実は甘えじゃなく脳の正常な仕組み
人間の体はよく出来たもので、体も脳もなるべく省エネを心がけようとするシステムが出来ています。
脳を使うことは筋肉を動かすことと同じくカロリーを消費します。
なるべく無駄なエネルギーを使わないため、カロリー消費量の多い脳の働きを出来るだけ抑えようとします。
勉強の為に頭を使うことは、本来の生命維持活動にそぐわない行為であり、ある意味では体が苦痛を回避しようとしているのと同じことなわけです。
したがって勉強をサボろうとする、やる気が出ないというのは生物的にはごく自然な反応と言えるのです。
とはいえ、生物的に正常であっても実際に勉強が思い通りに進まないことで日常生活に影響がでているから困っているわけですよね。
では続けて具体的かつ論理的にやる気を生み出すための手法をお伝えしましょう。
ロジカルにやる気を生み出す4つの手法
世の中には色々とやる気を出すための方法がまとめられています。
僕も今まで様々な勉強法ややる気の出し方といった本やサイトを参照し、色々なやり方を試してみました。
その中には効果があるものやないもの、色々ありましたが整理していくと『脳科学や心理学に基づいたもの』と『個人個人の実践ノウハウによるもの』の2つに大別されることがわかりました。
前者は主に脳科学者や心理学者が主張するやり方で、後者はよくある『僕はコレで東大に合格した!』とか個人ブログなどに載っている勉強法ですね。
実は後者の場合でもよくよく紐解いてみるとうまく科学的なアプローチを用いているものも多く、実は根本的には同じことを言っているという例も少なくありません。
科学的なアプローチを使っていれば必ず効果的かというとそんなこともありませんでしたし、聞いたことがないようなノウハウが意外と有効なこともありました。
実際に数年に渡って試してみた結果、僕なりにミックスした『やる気を出すための手法』を大きく以下の4つに分別できました。
- まず動くことでやる気が生まれる
- 勉強の動機を明確にする
- 休日の勉強には計画を立てることが効果的
- 勉強しやすい仕組みを作る
多くのテクニック本に書かれていることは結局はこのどれかに当てはまることが多かったです。
脳科学的にも裏付けが取れているものも多く、十分効果的であることは僕が身をもって保証します。
細かく説明しますのでぜひ取り入れてみてください。
1.手っ取り早くやる気を生み出すには『動くこと』
まず最も効果的で手っ取り早いのがとりあえず『勉強を始めてみること』です。
「何だそりゃ、やる気がなくて始められないから苦労しているんだよ!」という声が聞こえてきそうですがちょっと待ってください。
これは別にふざけているわけでも何でも無く、真面目な話です。
例えば『勉強を始めようとすると普段やらないのについ机の周りの掃除を始めてしまった』というあるあるネタがありますよね。
これは勉強から逃れようと何気なく掃除を始めたところ、ついついそちらに集中してしまったということです。
ですがこれ、いきなり机の周りの掃除をしろといわれたらどうでしょうか?面倒で中々やりたくないですよね。
ではなぜそんな面倒な掃除に集中することができたのでしょうか?
きっかけはあくまでもより大変な勉強から逃れるために何気なく始めたことですが、一度始めてしまえば気になって最後まで集中してしまったのではないでしょうか?
コレを勉強に置き換えると同じことが起こります。
勉強も最初の一歩に取り掛かるまでは大変ですが、一度始めてしまえば始めたことによってやる気が生まれそのまま継続しやすくなるという仕組みがあります。
『脳』に関する著書を多く出している池谷先生(東京大学大学院薬学系研究科教授)はこの仕組みを『淡蒼球(たんそうきゅう)』という脳の部位によって引き起こされると説明しています。
一言で言うと『やる気や感情は行動に伴って後付けされる』ということです。
たとえば、朝、眠いのに起きなきゃいけないとかね、そういう葛藤もなくなるんです。横になってたらいつまで経っても眠いんです。
体のスイッチが入ったら、脳は追随する。つまり起きる。そうすると目が覚めるじゃないですか。そういうことで、面倒なことがだいぶ楽になるんですよね。
やる気にならなくても、やりはじめればそのうち気分乗ってやるでしょ、みたいな感じを持ってると、たぶんすごく楽になるんです。
出典:ほぼ日刊イトイ新聞<https://www.1101.com/ikegaya2010/>
同じく脳トレで有名な茂木健一郎も以下の様に言っていますね。
やる気」がでないという人は、それをやらないことの言い訳にしているにすぎない。「やる気」というのは、それがあるから行動できるのではなくて、行動しないことの言い訳として、「やる気」を持ち出しているだけの話なのである。
何かに取り組んだり、行動したりするのに「やる気」は必要ない。そう気づけば、ずいぶん気が楽になるだろう。また、「やる気」がないことをを言い訳にして何もしないでいる自分にサヨナラできるだろう。「やる気」は必要ない。さあ、今日も、「やる気」など関係なく、目の前のことに取り組みましょう。
出典:茂木健一郎 オフィシャルブログ<https://lineblog.me/mogikenichiro/archives/6883249.html>
感情や理屈ではなくまず行動あるのみ、それこそが第一歩ということです。
人は行動を起こすまえに色々と考え込んでしまったり、やる理由/やらない理由を考えたりしますが考えれば考えるほど動けないものです。
計画や下準備はたしかに大事ですが、中々はじめられないことには勢いこそが一番のパワーになります。
例えるならば車が動き出すのと同じで、最初はとてもエネルギーを使いますが動いてしまえばずっと楽です。
ならば、最初のスタートは余計なことを考えずとりあえず無心で参考書を開いて3分だけ読んでみる。これで勉強は進みやすくなるはずです。
2.動機を明確にすることでやる気が生まれる
『とりあえず動いてみる』は非常に効果的なことですが、もともと物事を理屈で考えるタイプの人は、順序だてて進めないとどうにも気持ちが悪く感じてしまいます。
(そんな人にこそ『とりあえず動いてみる』は一度やってみると驚くほど効果的なのですが)
ならばその感情面を整理するために、勉強するための理由を明確にすることは非常に効果的です。
休日に勉強する意味はポジティブな理由かネガティブな理由しかない
そもそもなぜ休日にまでわざわざ勉強をしようと考えているのか、という点を明らかにしましょう。
とりあえずなんとなく勉強している、という人はいないはずで勉強するために理由があるはずです。
これはポジティブな理由かネガティブな理由のどちらかしかありません。
<ポジティブな理由>とは
- 資格を取得することで年収アップにつながることが期待できる。
- 知的好奇心が満たされる。
- 勉強することでやりたいことができるようになる。...など
<ネガティブな理由>とは
- このままでは将来に不安を感じる。
- 仕事や授業についていけなくなる。恥をかく、怒られる。
- 出来ないこと、知らないことで作業効率が落ちる。...など
・ポジティブな動機に対するやる気の出し方
ポジティブな動機をやる気につなげることは、いわば報酬型の動機づけと言えるでしょう。
これは勉強をした先に大きなリターンが見込めることで、それを期待して頑張ろうと思える仕組みを利用したものです。
しかし、コレには弱点があってその報酬によって最初こそやる気がでるものの、それを継続させることが非常に難しいのです。
例えば資格取得のための勉強の場合、ものによっては数ヶ月程度の期間を要することになるでしょうがそれだけの期間、毎日やる気が継続できる人は稀です。
ダイエットや筋トレを続けることの難しさを考えればよく分かりますね。
したがって、定期的に報酬(=合格後)イメージを更新し続けることがポイントになります。
おすすめは1つのゴールだけでなく、様々な角度から定期的にイメージすることです。
具体的にはネット上の合格体験談を見たり、その資格に対するイメージ調査結果、企業側の声などを見てみる。
あるいは収入が増えた後の具体的な使いみちを考えたり、旅行の計画を練ってみたり、高級マンションのチラシや賃貸物件サイトを見たり、といったことです。
飛躍しすぎているかもしれませんが、あえてそれくらい広範囲にイメージを広げたほうがポジティブな動機をやる気につなげやすいのです。
・ネガティブな動機に対するやる気の出し方
一方、ネガティブな動機は楽しいことを考えるのではなく、マイナス面を煽ることでやる気を強制的に引き出すので恐怖心型の動機づけと言えます。
実はこのネガティブな動機の場合のほうが一般的にやる気に結びつけやすいと言われています。
人の脳は快楽を得ることよりも苦痛から逃れようとする欲望のほうが強い為です。
有名なマズローの欲求5段解説でも生理的欲求や安全の欲求などがより根本的な欲求と言われていますね。
例えば夏休みの宿題の例が分かりやすいですね。
もし新学期が始まる前までに宿題を終わらせていなければ何らかのペナルティが課せられるという恐怖から、最終日間近になって一気にやる気が出て終わらせようとするわけです。
特にビジネスマンの場合、勉強をしないと仕事についていけない、あるいは収入が減ると考えれば嫌でも焦りが生まれます。
今よりもボロいアパートに引っ越ししなければならない、趣味に使えるお金がなくなる、同期のアイツよりも給料が安い、などなるべく具体的に想像することで『やらなければならない』という思いが強くなるでしょう。
そうなったらすぐに具体的な行動にうつしてみることです。
そう、『とりあえず動いてみる』です。
『他の人が合格しているのだから自分も合格しなくては』という焦りや『他の人が合格しているのが悔しい』という屈辱感や劣等感をやる気に変えるわけです。
よりやる気がでやすいネガティブな動機にあえて転換するという手法ですね。
3.計画を立てることで予定は意味を持つ
休日というのは当然ですが平日よりも多くの時間が与えられます。
なにせ基本的には丸一日自由に使えるわけですが平日と比べてずっと時間に余裕があるわけです。
実はこの時間の自由度が、かえってやる気をそいでしまっています。
「たくさん時間があるのだから少しくらいサボってもいいだろう」「午前中は漫画をみて午後からやろう」
平日は勉強出来るのに休日は勉強が進まないというのはよくあることですが、これは休日で時間が多くある故に緊急性を感じていないことが原因です。
これは先程の例と同じで夏休みの宿題をギリギリまで放置して、8月後半にあわてるのと同じことですね。
選択肢が多いと自由に選択できるように思えますが、実際にはかえってその中から選ぶことができなくなるそうです。(心理学の用語で『選択回避の法則』といいます)
つまり、多すぎる休日の自由時間がむしろ動けなくなる要因でもあるのです。
・休日は長い。だからこそ計画的に
コレを回避するために重要なことが『計画』です。
土日休みとなるとかなりの自由時間があるように思えますが、冷静に考えてみればそれほど使える時間が多くないことに気づきます。
まず睡眠時間は必須ですし、食事や風呂、家事なんかにも時間が取られるでしょう。
休日は時間が大量にある、という考えを払拭するため実際に勉強に使える実時間を把握することが第一歩となります。
仮に7時に起きて朝食、洗濯などを終わらせて8時、その後12時に昼食だとするとAMで4時間。
さらに13時~18時までを自由時間とすると5時間。
その後、夕食後、風呂や洗い物をしていればせいぜい寝るまでの時間は3時間程度でしょう。
つまり合計で12時間ということになります。
2日分でちょうど24時間です。2日あるといっても実際に使える時間はせいぜい半分程度ということになるわけです。
では実際にこの時間をフルに勉強に費やすことはできるでしょうか?
休みだからと起きるのが遅くなることも多いでしょうし、不思議なことに起きるのが遅くても勉強していると午後や夕方は眠くなってしまうものです。
そもそも何時間も通して集中し続けることは困難ですし、食事を兼ねた小休止が思った以上に長くなることもありがちです。
その為、1日12時間という数値も理想値であり現実的にはもっと少ないと言えるでしょう。
・タイムスケジュールを決めて時間を区切る
実際に一日のタイムスケジュールを計画し、細かく分けて作業をしましょう。
ちなみに集中力が持続するのは最長で90分と言われています。
つまりAM、PMという大きい単位でぶっ通しで勉強しようとするのは無謀です。
ある程度ばらつきがありますが、理想は30分~45分程度で区切るのがベストです。
AMのタイムスケジュールの例
- 8:00~ 8:45 ○○を終わらせる
- 8:50~ 9:30 □□の章を勉強
- 9:40~10:20 △△の復習
- 10:25~11:10 ××の模擬テスト
- 11:15~12:00 ××の模擬テスト復習
例えば上記のような形で、勉強する内容を都度変えてみるというのは集中力が持続しやすい鉄板勉強法の1つです。
1つのことにじっくり取り組みたいときは、何段階かに細分化し何度か小休止を挟みながらというやり方もいいでしょう。
スケジュールのとり方に関しては人によって向き不向きのばらつきが大きいようです。
上記の例を参考に色々と試してみてください。
いずれにせよ一気に何時間も続けるのではなく一定時間ごとに勉強範囲を切り替えたり小休止を挟んで、一度リセットすることがポイントです。
もちろん時計でも良いのですが、カウントダウン式のタイマーアプリなどを使うことで残り時間がはっきりわかるので圧倒的に集中しやすくなります。
これはすぐに実践可能で効果も高いので、是非とも試してみていただきたいですね。
・午後の6時間より午前の3時間
またスケジュールを組む上で重要なことは、なるべく午前中に予定を組み込んでそれを厳守することです。
やはり午前中は一日の中でもっとも集中力が持続する時間です。
午前中に勉強がはかどると、一日のリズムが良くなり午後の勉強も集中しやすくなります。
『午前中はほどほどにして、時間がある午後に多めにやろう』という考え方は厳禁です。
経験上、午後の勉強は午前のせいぜい半分程度の効率です。
いっそのこと午前中にしっかり集中出来たときは、午後は15時くらいに切り上げてOKというスケジュール感にしたほうが効果的ですね。
4.勉強をルーティン化してやる気スイッチを引き出す
これもよく言われていることですが、勉強をルーティン化するというのはたしかに効果的です。
わかりやすく言うと毎日の歯磨きや風呂と同じ様に勉強を日々の日課にしてしまえば苦労せず当然のように始められるということです。
ルーティンワークの一つとして固定してしまえば、動き出すのにエネルギーを必要とせずに実行できるようになります。
ただ、毎日朝1時間早く起きて勉強する、といったパターンと違い休日丸々勉強することを日課にするのは現実的ではありません。
(そもそも週1、2回では中々ルーティンとして固定しないでしょう)
そこで、休日の場合は勉強そのものをルーティン化するのではなく勉強を始めるための環境をルーティン化しましょう。
お気に入りの場所を勉強スポットとして固定するのです。
やはり図書館やカフェは非常に効果的ですね。
家だとつい怠けてしまうという場合でも、外ならばずっと集中しやすいはずです。
理想を言えば毎回同じ席で、同じメニューを頼むとよりベターです。
僕の場合は家の近くのカフェやマックなどいくつかのスポットにお気に入りの席を決めています。
もちろん空いていない時もありますが、空き次第すぐに移動するようにしています。
そうしてその席につくと、自然とやる気スイッチが入って集中できるようになります。
こうなると周りが多少騒がしくてもあまり気になりません。
僕の脳に勉強すべきスポットとしてインプットされているわけです。
ぜひあなたも同じ様に自分だけのお気に入りのスポットを見つけてください。
※場所によっては椅子の座り心地が悪かったりして、長時間の作業時に腰が痛くなる場合もありますのでご注意を。。。
まとめ
以上4つの具体的なやる気を出すためのメソッドをご紹介しました。
- まず動くことでやる気が生まれる
- 勉強の動機を明確にする
- 休日の勉強には計画を立てることが効果的
- 勉強しやすい仕組みを作る
いずれも僕が実際に試してみてより効果が高いと感じた手法ベスト4です。
他にも細かい話でいれば、脳を活性化させるために十分な睡眠を取ることや糖分を補給すること、集中しやすい音楽を聴くなどの手法もありますが補助的な要素に過ぎないかなという印象ですね。
今回紹介した4つのいずれかを試してみればきっと今後の休日が変わるはずです。
ぜひ今度の週末から実践してみてくださいね。