あなたは小学生にインターネットの仕組みをわかりやすく説明する事はできるでしょうか。
あるいは、自分がやっている仕事の内容を伝えたり、自分の性格を3分間で表すことができるでしょうか。
・・・どうでしょう?意外とスラスラと浮かんでこないですよね。
実は人にわかりやすく説明するという事は想像以上に難しいことです。
もしあなたが説明が苦手である、と感じていてもそれはおかしなことでも何でもありません。
誰かに物事を説明するのが苦手と感じている人は多く、2013年にマイナビニュースが1000人のビジネスマンに行った調査では、実に約8割もの人が【人に何かを説明する事が苦手】と答えたそうです。
なぜ多くの人が人に説明することを苦手としているのでしょうか?
答えは簡単で、『わかりやすい説明』がどんなものかがわからないからです。
わかりやすい説明に必要な要素は2つ。大きく分けるとたったの2つです。
この2つのポイントを知らないため、多くの人はわかりやすい説明をすることができていないのです。
この記事を読めば、今までなぜうまく説明ができなかったのか、その理由がわかるはずです。
そして同時にどうすればうまく説明ができるかも【具体的に】わかるようになります。
「どうにもうまい説明ができない」「人に言いたいことが伝わらない」
そんな人も、これを見れば明日から劇的に説明の仕方が変わることうけあいです!
説明下手な人が意識すべき『分かりやすい説明』の仕方
さっそくその重要な要素2つについて説明します。
ズバリ、
・自分が伝えるべきことが明確になっていること
・相手が理解しやすいように伝えていること
これだけです。
1つ目は自分自身の理解に関わることで、2つ目は相手への伝え方に関わることです。
ただ、これだけだと抽象的でいまいちピンときませんよね。
ではこの2つのポイントについて、それぞれじっくりと掘り下げていきましょう。
1.『自分が伝えるべきことが明確になっている』とは
これは自分の中で、物事を説明するために何が必要かがはっきりとしているということです。
『伝えるべきことを明確にする』ために必要なことをさらに細分化すると以下の3つになります。
- a 説明したいことの全体像を理解していること
- b ポイントとなる【要点】が絞り込めていること
- c 事前の準備ができていること
これらの3つのポイントが抑えられていなければ、残念ながらどんなに一生懸命話をしてもわかりやすい説明にはなりません。
むしろ一生懸命話しすぎるほどにかえって相手を混乱させてしまうことになるかもしれません。
でも大丈夫です、どういうことかこれから一つ一つ丁寧に説明していきます。
1-a 説明したいことの全体像を理解していること
相手に伝えるためには、自分自身が説明しようとしていることをしっかりと理解していることが大前提です。
伝える側の理解がそもそも曖昧であり、実はよくわかっていない。こんなことでは十分な説明はできませんよね。
うやむやに言葉を濁したり、矛盾する説明になってしまいます。
全体像は理解しているが『ココとココはわからない』と明確になっているなら大丈夫です。「この部分に関しては自分も不明です」という説明ができるからです。
冒頭の例であった「インターネットの仕組みを説明する」というのが意外と難しいのは、普段何気なく使っているインターネットの仕組みを十分に理解している人は少ないからです。
1-b ポイントとなる要点が絞り込めていること
説明するにあたって重要な点は「必要なことだけ話す」です。
何が要点なのかを理解していないと、話す順番がちぐはぐだったり本筋と外れた枝葉の部分を一生懸命説明してしまいます。
あれもこれもと言いたいことを伝えるのではなく、重要なことだけを絞って伝えることが何より大事です。
人は一度聞いただけでですべてを理解することは不可能です。
ですから重要な点だけを絞って伝えてあげる必要があるのです。
例外や細かい補足、注意点などを話しすぎてしまう人や話にまとまりがない人は、要点が絞り込めていない可能性が高いと言えるでしょう。
- 説明する物事のキーワードを思いつく限り書き出してみます
- その中から似たようなものをグループ化します。
- そしてそれらのグループの中からもっとも『重要な必須項目』や『特徴的なこと』あるいは『伝えたいこと』が含まれている3つを選びます。
それこそが伝えるべき要点です。3つに絞り込んだグループを軸に説明を行いましょう。それ以外はばっさりと切り捨てて、また別の機会に伝えればよいのです。
繰り返しになりますが、一度で全てを伝える必要はありませんし、できません。
1-c 事前の準備ができていること
最後のポイントは『全体像の理解』『要点の絞り込み』を事前に準備するということです。
会話による説明は文章と違い、生放送(ライブ)です。
後から修正したり、じっくりと推敲することができません。
つまりリアルタイムで頭の中で文章を組み立てて整理しながら話す必要があります。
これには、ワーキングメモリという能力が不可欠です。
ワーキングメモリ (working memory:作業記憶,作動記憶) とは,短い時間に心の中で情報を保持し,同時に処理する能力のことを指します。会話や読み書き,計算などの基礎となる,私たちの日常生活や学習を支える重要な能力です。
(出典:https://home.hiroshima-u.ac.jp/hama8/working_memory.html)
簡単にいうと『言うべきこと』『やるべきこと』『聞いたこと』などを整理し、組み立てるための頭の中の作業エリアです。
ワーキングメモリが少ないと、どこまで話したか、何を話すつもりだったか、全体の因果関係などを話しながら忘れてしまいがちです。
うまくリアルタイムに文章の整理や組み立てができないわけですね。
これは慣れの要素も大きく関わってくるので、出来ないからといって頭が悪い、という話ではありません。むしろ普通です。
対策も簡単です。考えながら話すのではなく事前に整理しまとめた上で伝えればよいのです。
先程の例のように、とにかく重要だと思うことを3つだけ絞り簡潔に説明しましょう。ポイントは細かい部分まで伝えようとしないことです。
準備もなくいきなり説明を求められるという状況は、多くの場合概要が知りたいだけですからね。
『自分が伝えるべきことが明確になっている』為の3つの要素 まとめ
以上が伝えるべきことを明確にするために必要な3つの要素でした。
『a 説明したいことの全体像を理解していること』『b ポイントとなる要点が絞り込めていること』『c 事前の準備ができていること』
まずはこれをしっかりと行い、自分の中で十分に整理された状態にしておくことです。
紙に書き出してみるのがよいでしょう。
自分の中の理解や準備が十分にできているならば、次に意識すべきは伝える相手のことです。
これも同じくらい重要なポイントですから、ぜひマスターしてください。
2.『相手が理解しやすいように伝えている』とは
どんなに立派な考えやアイデア、あるいは自分の実績や依頼事項なども相手に伝わって初めて意味があります。
自分は説明ベタだと『感じていない人』の中には相手のことを考えずに話し、結果的に伝わりづらい説明になっている人が多くいます。
特に年配者や熟練の経験者、上級者ほどこの傾向が非常に強いです。
説明とは自分が言いたいことを一方的に相手に伝えるものではありません。
相手が理解できるように伝えなければならないのです。
その為のポイントをこれまた3つに絞りました。
- a 初めに結論や全体像を示していること
- b 相手のレベルに合わせた説明になっていること
- c 何をすべきかが明確になっていること
では先程と同じ様に1つずつ掘り下げてみましょう。
2-a 初めに結論や全体像を示していること
報告や依頼の際にはゴールとなる結論を最初に示すことで聞いている相手は話が理解しやすくなります。
なぜなら、結論は依頼や報告において最も重要な事項(一番伝えたいこと)だからです。
何かミスしたときの報告書やお詫び状などは、全て最初にこの結論が示されているはずです。
『結論ファースト』これを心がけましょう。
また、説明の際にも全体像を最初に示し、そこから徐々に詳細化していくのが基本です。
そうすれば今聞いている話が全体のどの部分を話しているかをイメージしやすくなるからです。
なるべく相手が理解しやすい順で説明してあげる事が重要なわけです。
2-b レベルに合わせた説明になっていること
前提となる知識や事前の情報が必要な話をする場合、相手がどこまでを理解しているかを考えて話しているでしょうか。
いきなり分かりづらい専門用語を交えたり、前提となるルールを省いて説明しても正しく理解することはできません。
これも『言いたいことを話すのではなく伝わるように話す』を意識していれば回避できるはずです。
話している中で相手の表情を見れば理解しているかどうかはすぐにわかるでしょう。
- 明らかに困惑した表情をしている。首を傾げている。
- 目線が固まっている。あるいは目線が泳いでいる。
- 「あー…」「なるほど…」「ふーん…」のように語尾が不明瞭に終わる。
これらの特徴が見られたら、そこで話を一旦止めて相手がどこまで理解しているかをちゃんと確認しましょう。
そのまま話を進めてもきっと相手の耳には入りません。
後でまた同じ説明をすることになるだけです。
2-c 何をすべきかが明確になっていること
これは何かをやってもらうための説明の際に必要なことです。
聞いた相手が、具体的に何をすればよいかが明確になっているのが良い説明です。
例えば本記事の冒頭で書いた「伝えるべきことが明確になっていること」「相手が理解出来るように伝えていること」という言葉があります。
これだけ聞かされても「いや、っていうか具体的になにをすればいいのさ…」ってなってしまいますよね。
なぜなら上記の2つのキーワードははあくまでも全体の要約メッセージに過ぎないからです。
ですから聞いた人が具体的な行動を起こせるような内容に落とし込んであげる必要があります。
「相手目線で」「よく考えて」「主体的に」これらはよく使われる言葉ですが、聞いた相手が実際どうすればよいかわからなければ意味がないのです。
相手の成長を促すために敢えて細部まで説明しない場合はよくあることです。
しかしその場合は
- 考えることが相手のためになる状況であること
- 少なくとも自分は明確で理論的な答えをもっていること
- 相手が考えればギリギリ出来るレベルであること
これらが重要です。相手がいくら考えても答えが出せない。その為の前提知識や経験則を持っていないという場合は完全に説明不足ということになりますし、実は自分でも明確な答えを持っていない、というもの実は意外とありがちだったりします。
『相手が理解しやすいように伝える』為の3つの要素 まとめ
相手の目線で伝えるための3つの要素について説明しました。
『a 初めに結論や全体像を示していること』『b 相手のレベルに合わせた説明になっていること』『c 何をすべきかが明確になっていること』
説明するときは、自分のことばかり考えてしまい伝える相手のことをおろそかにしてしまいがちです。
くどいようですが説明は相手に理解してもらって初めて意味があります。
『相手の理解力が低い』と嘆くよりも『もっとわかりやすく伝えられないか』と考えたほうが2度手間を避けられますし、自身の成長にもつながるはずです。
まとめ
いかがでしょうか。
なぜ今までうまく説明することが出来なかったのか、その理由は「わかりやすい説明」に必要なポイントが抑えられていなかったことが原因だったということです。
最後にもう一度「うまい説明」に必要なポイントをまとめてみます。
- しっかりと『全体像を理解』し『伝えるべき要点を絞る』こと。その為の『準備をしっかりと行う』事が重要です。
- 話すときは『相手の理解レベルに合わせ』て『はじめに結論を述べ』『やるべきことを明確に』伝えましょう。
これらのポイントさえ抑えられていればほとんどの場合、わかりやすい説明が出来るでしょう。
最初は1つ1つ意識しないと難しいと思いますが、慣れてくれば自然にできるようになるはずです。
ぜひとも参考にし、活用してみてくださいね。