真夏のひんやり対策レビューシリーズの第3回は本命、エアコンです。
エアコンを検討する予算が無い!またはエアコンが苦手!という人は以下の記事も参考になるよ!
とはいえ、いまさらエアコンなんてどの家庭にもあるし、賃貸だってエアコンが付いてないアパートとか珍しい。
そういう意味ではあえてレビューなんて不要かしれない。
でも、実はエアコンの価格ってメチャメチャ幅があることを知っています?
よく『大特価¥39,800!!』とかCMやチラシでやってますけど、高いものは10万20万平気でするんです。
一体何が違うのか不思議に思いますよね。
実は僕も去年、そんなちょっとお高いエアコンをゲットしたんです。約15万円ほど。
ソレまでは賃貸で安物のエアコンしか使ったことがなかったので、高いエアコンとの違いについて実際に体感できたわけです。
そこで今回はエアコンの価格差の理由と、実際に使ってみたメリットデメリット、そして結局どちらがコストパフォーマンに優れているのかをお伝えしようと思います。
『今度エアコンを買い換えようかなー』なんて考えているあなたに是非見ていってほしい!
きっと参考になるはず!
エアコンと安いエアコンの違いとは
僕がゲットしたモデルは日立の白くまくんのXシリーズ。
10畳タイプの『RAS-X28F』というタイプ。
白くまくんのシリーズは2017年現在リーズナブルなモデルから順に『D』『W/WL』『E/EL』『X』と4つのラインナップがあって、中でもXシリーズはプレミアムモデルとして最高級品として位置付けられている。
なお、『AJ』『BJ』といった更に機能を絞った低価格モデルもあるが、実はコレは一般用じゃなくて住宅設備用、つまりマンションやアパートの大家向けのシリーズ。(メーカーも日立じゃなくて日立アプライアンス)
一応価格.comとかには載っているけど一般的な家電量販店では購入はできないので今回は除外する。
では、例えば最新の2017年に出た同じ10畳タイプのDシリーズ『RAS-D28G』とXシリーズ『RAS-X28G』で比較してみよう。
■主要データ比較表
比較項目 | RAS-D28G | RAS-X28G | |
---|---|---|---|
1 | 価格*1 | ¥66,800 | ¥127,000 |
2 | くらしカメラ | 無し | 有り |
3 | 自動お掃除機能 | 無し | 有り |
4 | 暖房能力&消費電力 | 3.6kW(880W) | 3.6kW(680W) |
5 | 冷房能力&消費電力 | 2.8kW(790W) | 2.8kW(560W) |
6 | 低温時暖房能力 | 3.4kW | 5.5kW |
7 | 省エネ基準達成率 | 100% | 129% |
8 | 期間消費電力 | 929KWh | 706KWh |
こうして2機種で主要なデータを並べてみると、意外と様々な差があることがわかる。
もちろん細かい機能面で言えばもっと沢山あるんだけど、全て並べるとキリがないので特に目玉となる機能面のみの比較に絞っているよ。
では順番に説明しよう。
1.価格差について
一番わかり易い価格については、ちょうど2倍程度の開きになった。
そもそも白くまくんシリーズはスタンダードモデルのDシリーズでも割と強気の値段設定。
(三菱電機の霧ヶ峰シリーズなんかのスタンダードモデルの場合は、3万円台で買えちゃうからね)
単純に2台分近い価格差があるわけだ。
その理由を紐解いていこう。
2.くらしカメラの有無
メジャーな機能としてエアコンの前面に付いている『くらしカメラ』という物がある。
Dシリーズには搭載されていないんだけど、Xシリーズにはなんと3台も付いている。
それぞれ違った用途になっていて人や物の位置、温度、湿度、間取りなんかを見極める。
それによってどこに人がいるのか、誰が暑いのかを見極めて無駄なく冷やすことが出来るということらしい。
ただ、コレには大きな欠点があって実はエアコンのすぐ下にいる人を判別できない。
カメラによって人がいることを感知すると『在室』を表すランプが付くんだけど、体感的にはエアコンの真下から1.5m以内位に座っているとそのランプが点灯しない。
つまりカメラで認識できていないってことだ。
広いリビングに設置している場合は問題ないんだけど、このモデルの対象である10畳位の部屋だとその性能を十分に発揮できないんだ。
これは僕も買ってから気付いたことだったので、要注意!
3.自動お掃除機能の有無
これもDシリーズには搭載されていない機能。
実はエアコンの最大の問題は掃除が大変なことと、掃除しなかった時の悪影響が大きいこと。
ワンシーズン全くお手入れせずに使用すると、フィルターはホコリまみれになる。
その状態でエアコンを使うと冷却効率が大幅にダウンしてしまう。
環境や使い方で相当にバラつきが有るので一概には言えないんだけど、3年放置したエアコンで電気代3割アップ&冷暖房パワー1割ダウンという事例もあるらしい。
それだけじゃなく、起動の度にホコリを撒き散らすことで、いわゆるハウスダウトによる健康被害の恐れもある。
でも、自分でエアコンの掃除しようとするとそれはもうえらい大変だし、業者に頼めば1~3万円位は取られてしまう。
そんなわけでついつい放置しちゃうよね。
だからそんなフィルター掃除を自動的に行なってくれる自動お掃除機能のメリットは非常に大きいといえる。
ただ、この自動お掃除機能にもやっぱり欠点がある。
・欠点1 音が猛烈にうるさい
運転を停止すると、その後自動で10分位内部の掃除をしてくれるのだが、そのときの動作音がガタガタゴトゴトウィーンと非常にやかましい。
普段でもうっとおしいし、寝てるときにタイマーなんかで自動的に切れたときなんかはうるさくて結局掃除を強制停止する事もしばしば。
だから掃除するときは、出かける前なんかに個別でお掃除機能をONにしたりする。
・欠点2 全ての汚れが取れるわけじゃない
たしかにホコリに関してはお掃除機能によってだいぶ除去されるんだけど、ブラシを自動回転させているだけだから結露によるカビや湿気を含んだゴミなどは残ってしまう。
つまり、少しずつ汚れは蓄積されていく。
結果として、大体3~5年に一度はやはり本格的な掃除が必要となる。
一般的なエアコンは1年に1度と言われているので3~5倍長持ちするということになるんだけど、完全に0になるわけじゃないことは覚えておいてほしい。
ちなみに自動お掃除付きのエアコンの掃除を業者に頼む場合、通常のエアコンよりも割高になる場合が多い。
中にあるお掃除ユニットがじゃまになる為らしく、大体相場としては1万円位上乗せされることが多いみたい。
・欠点3 サイズが大きくなる
自動お掃除機能付きのエアコンはかなり奥行きがでかくなるという特徴がある。
前に張り出すことで見た目の問題だけじゃなくて、前述のくらしカメラで下にいる人間を検知できないという欠点にもつながってるんだよね。
初期の携帯電話みたいに、数年後には今よりずっとスリムになるんだろうーなと思わずにいられない。
4.冷暖房能力と消費電力の違い
これも電気代と冷暖房のパワーに影響する重要なポイント。
■主要データ比較表抜粋
RAS-D28G | RAS-X28G | |
---|---|---|
暖房能力&消費電力 | 3.6kW(880W) | 3.6kW(680W) |
冷房能力&消費電力 | 2.8kW(790W) | 2.8kW(560W) |
低温時暖房能力 | 3.4kW | 5.5kW |
まず冷暖房の能力と消費電力の関係。
見ての通り同じパワーであるにも関わらず、消費電力は70~80%程度に収まっている。
もう1つ重要なのが『低温時暖房能力』だ。
これはその名の通り、外気温が低温の場合に暖房をつけた時のパワーを表している。
具体的には室温が20度で外気温が2度という真冬の東北地方なみの寒さのときの暖房能力を表す。
RAS-D28Gは3.4kWと通常時より0.2kW低下しているのに対し、RAS-X28Gは5.5kWとむしろ火事場の馬鹿力を発揮している。
外が寒いときほどより強いパワーで温めてくれるので、寒い地方に住んでいる場合にはその恩恵は大きい。
ただ、都市部の場合真冬でもそこまで冷え込むのは夜中や早朝位のものなので、あまりありがたみは感じないかもね。
5.省エネ基準達成率&期間消費電力の違い
最後は気になる消費電力と電気代について比較してみよう。
■主要データ比較表抜粋
RAS-D28G | RAS-X28G | |
---|---|---|
省エネ基準達成率 | 100% | 129% |
期間消費電力 | 929KWh | 706KWh |
まず、省エネ基準達成率はわかりやすいよね。省エネ効率がどちらが優れているか。
単純に達成率が高いほど性能に対する電気代の比率が少なくて済む。
『RAS-D28G』と『RAS-X28G』だと約1.3倍の開きがあることなる。
さっきの冷暖房能力と消費電力との関係性ともだいたい一致するね。
一方、具体的な電気代の違いの指標になるのが『期間消費電力量』ってやつだ。
これは以下のような条件で使用した場合の年間の消費電力量を表した物。
JIS規格では以下のように定義されている。
―算出基準―
外気温度:東京をモデルとしています。
設定温度:冷房時27℃/暖房時20℃
期間:冷房期間(5月23日~10月4日)
暖房期間(11月8日~4月16日)
時間:6:00~24:00の18時間
住宅:JIS C9612による平均的な木造住宅(南向)
部屋の広さ:機種に見合った部屋の広さ
1年の内ほとんどの期間を毎日18時間つけっぱなしというかなり無茶な条件での算出結果なので実際にはもっと使用頻度は少なくなると思う。
で、この消費電力に日本全国の電力会社の平均である1KWh=27円という金額を当てはめて計算してみると、以下のような感じになる。
RAS-D28G | RAS-X28G | |
---|---|---|
年間電気代(算出基準どおり) | ¥25,083 | ¥19,062 |
年間電気代(算出基準の半分) | ¥12,541 | ¥9,531 |
多分算出基準の半分くらいが現実的な線じゃないかな。
そうすると1年間使っても電気代は3000円程度しか変わらないということになるんだよね。
省エネ効果としては実際にはあまり差は感じない。
<余談>
そもそもこうして見るとエアコンの電気代って意外と安いよね。
この算出基準で行くと2017年度の場合、冷房期間(135日)+暖房期間(160日)=295日となる。
すると295日×18時間で総稼働時間は5310時間。さらにそれを年間電気代で割ると1時間あたりRAS-D28Gでも4.72円、RAS-X28Gだと3.58円しかかからない計算になる。
うーん、ちょっと眉唾な感じの数値だ。
実際には人の動きや出入り、窓の開け閉めなんかが影響するだろうし、場合によって設定温度を変えるだろうからもっと効率が悪くなる。
体感的な違い
さて、データ面の比較検証が終わったところで、実際に使ってみて感じた体感的な違いを上げてみる。
初めに言っておくとぶっちゃけ、高いエアコンだろう安いエアコンだろうと基本的な『冷やす』『暖める』という機能自体は体感的にはたいして違いは感じません。
くらしカメラ、自動お掃除機能のほかにもXシリーズならでは機能っていうのは色々とある。
『カラッと除湿(室温を下げずに除湿する)モード』とか『涼快(湿度コントロールで体感温度を下げ、冷えすぎを防ぐ)モード』とか。
更に細かいところで言うと『0.5度単位で温度設定可能』『銀イオンで除菌』『風向きを細かく調整可能』とか。
でも、正直言ってモードの違いなんてあまりわからないから普段はほとんど使っていないし、風向きや温度もそこまで頻繁には変えることはない。
結局、日常的には基本的な冷暖房機能だけで十分なんです。
はっきり言ってその他のボタンなんてほとんど押すことは無いんです。
そういう意味では、大多数の使いこなせていない細かい機能の分もしっかり価格に反映されているので、ちょっと損している気がするのは否めない。
費用対効果は?
最後に高級エアコンは費用対効果の面でどうなのかを検証してみる。
ココまで読んで想像付くだろうけど、正直、費用面ではあまり割に合わないと思います。
そもそも電化製品は全般的にそうなんだけど、ハイクラス製品はその価格と性能がまったくバランスが取れていない。
ほんの僅かな性能差や目新しい機能のために一気に割高になる。
考えてみればこの価格には最先端技術に対する研究費や開発費も含まれているわけで、単純に考えてその分が上乗せされているのだからお得なワケがない。
単純に利益率でいえばハイクラスのモデルというのはメーカーからみても『美味しい』商品なわけだ。
何年使えば元が取れる?
ではRAS-D28GとRAS-X28Gの損益分岐点をちょっと計算してみよう。
さきほどの主要データの価格差から初期費用としてはRAS-X28Gの方が¥60,200ほど高くなる。
この分をランニングコストの差によって何年でペイできるか考えよう。
1年辺りのランニングコストの差は以下で求められる。
まず単純な消費電力の差。これは先程計算したように1時間あたり平均4.72円と3.58円だから1.14円しか無い。
年間の使用時間は一般的な生活スタイルで考えると以下のような感じかな。
期間:7月~9月と12月~3月の合計7ヶ月間×30日=210日
時間:算出基準より少し少なめの1日あたり平均12時間
つまり1年で210日×12時間=2520時間だ。
したがって年間電気代はRAS-D28Gが¥11,894、RAS-X28Gが¥9,021ということになる。
次にクリーニングによる料金差だ。RAS-D28Gの場合は1年毎。RAS-X28Gの場合は3年毎と仮定する。
ダスキンの公式サイトの料金表を見ると以下のようになっている。
壁掛けタイプ 標準料金:¥12,960
壁掛けタイプ(フィルター自動お掃除機能付き) 標準料金:¥23,760
実に1万円近い価格差がある。
これらを元にまとめたものが以下の表だ。
ランニングコスト比較表
年数 | RAS-D28G | RAS-X28G | コスト差 | 累計コスト差 |
---|---|---|---|---|
1年目 | ¥11,894 | ¥9,021 | ¥2,873 | ¥2,873 |
1年目終 | ¥12,960 | ¥0 | ¥12,960 | ¥15,833 |
2年目 | ¥11,894 | ¥9,021 | ¥2,873 | ¥18,706 |
2年目終 | ¥12,960 | ¥0 | ¥12,960 | ¥31,666 |
3年目 | ¥11,894 | ¥9,021 | ¥2,873 | ¥34,539 |
3年目終 | ¥12,960 | ¥23,760 | △¥10,800 | ¥23,739 |
4年目 | ¥11,894 | ¥9,021 | ¥2,873 | ¥26,612 |
4年目終 | ¥12,960 | ¥0 | ¥12,960 | ¥39,572 |
5年目 | ¥11,894 | ¥9,021 | ¥2,873 | ¥42,445 |
5年目終 | ¥12,960 | ¥0 | ¥12,960 | ¥55,405 |
6年目 | ¥11,894 | ¥9,021 | ¥2,873 | ¥58,278 |
6年目終 | ¥12,960 | ¥23,760 | △¥10,800 | ¥47,478 |
7年目 | ¥11,894 | ¥9,021 | ¥2,873 | ¥50,351 |
7年目終 | ¥12,960 | ¥0 | ¥12,960 | ¥63,311 |
計算上は約7年後に損益分岐点を迎えるということになる。
実際のところは省エネ性能による電気代ではなく、クリーニングの頻度によるコスト差が最大の要因になっている。
が、現実的にはこのような形になるとは考えにくい。
これだけの頻度でクリーニングはしないだろうし。
まとめ
一般的にエアコンや洗濯機、冷蔵庫といった白物家電は5年~10年は平気で持つ。
最近は性能もどんどん良くなって更に耐用年数が増えているので、10年20年だって持つかもしれない。
(機能が増えたことで逆にトラブルが多くなっているという説もあるけど)
何れにせよ、エアコンはそうそう頻繁に買い換えるものではなく、10年程度は使い続けるということを前提に考えて問題はないといえるでしょう。
そう考えれば、初期コストパフォーマンスに少々難があるとはいえ、長期的に見ればハイクラス製品を選ぶことは決して間違いではない。
なにより、高性能の家電を使うことで得られる様々な利便性や快適性はいざという時に力を発揮するからね。
また、エアコンに関してはいわゆる『大は小を兼ねる』ということも覚えておくべき重要なポイント。
ココで言う大とは対応畳数のことで、実際の部屋の広さよりもある程度大きめの広さに対応しているものを選ぼう。
例えば僕が今回かったタイプは10畳対応だが、8畳の和室に設置している。
ソレくらいのほうが早く冷えるからね。むしろ12畳対応でもいいくらい。
というわけで、だいぶ長くなってしまったけど高級エアコンと安いエアコンの性能面、コスト面での比較などをお伝えしました。
是非とも参考にしてみてね!
おしまい
*1:2017年9月現在での価格ドットコム最安値より